ポリプロピレン(PP)からできており細く短いバルチップですが、どのくらいの強さがあるか想像がつくでしょうか。
トンネル覆工の剥落対策として使用されるバルチップJK(以下、JK)のカット前の糸の強度はおおよそ220.5N(=約22.5kg)
単純に考えてバルチップ1本で約22.5kgの重さに耐えられるということです。
これを48mmにカットしたものをひょうたん型の供試体に4本埋め込み、上下に力を加えることで引き抜け荷重を測定しています。
*強度は繊維が破断してしまう重さ、引き抜け荷重は文字通りコンクリートから繊維が抜けてしまう重さ。
*JIS A 6208「合成短繊維の付着強さ試験方法」に準じて実施
その結果が下の表とグラフ
*実測値であり保証値ではありません
JK(カット後:48mm)でエンボス(凹凸)有りと無しの2種類を計測しています。
エンボス無しが113.4Nの最大引抜け荷重に対して,エンボスありは663.3Nとなんと6倍!
1本当たりの引き抜け荷重は663.3÷4=165.8N=約16.9kgとなります。
(バルチップはエンボス加工を施すことでコンクリートとの付着性を高め、能力を向上させています)
トンネル覆工の剥落対策として使用されるJK3548の場合、1本(48mm)の重さは約0.017g。
標準添加量:2.73kg/m³で考えると1m³あたりじつに約16万2千5百本ものバルチップが混入している計算です。
1本でもそれなりの強さのある繊維が無数に点在することでコンクリート片を繋ぎ止め剥落を防止します。
コンクリートとの付着にはエンボスがむらなくしっかり刻まれていることが重要となり
補強繊維としての性能をきちんと発揮できるようにバルチップは徹底した管理を行っています。