コンクリートの性能を低下させる要因:「凍害」
凍害を引き起こす原因として「コンクリートの凍結融解作用」があります。
凍結融解作用とは、硬化したコンクリート内部の水分が凍結と融解を繰り返すことで生じる劣化現象です。
コンクリート内部の水分が温度低下によって凍結し体積が膨張、その後日中に気温が上がり融解する。
長年にわたりこの凍結と融解を繰り返すことで、コンクリートが徐々に劣化していきます。
寒冷地で発生しやすく、特に凍結と融解を繰り返す環境(昼と夜の寒暖差が激しい環境)では深刻な問題になるケースもあります。
一般的に凍結融解作用への対策としては、AE剤などで空気量(エントレインドエア)を調整することが挙げられます。
そこで今回は、バルチップ入りコンクリートで凍結融解試験を行った結果について解説します。
凍結融解の試験方法は、JIS A 1148:2010に規定される水中凍結融解方法(A法) で行いました。
凍結融解の1サイクル:供試体の中心部の温度が通常5℃~-18℃に下がり、また-18℃~5℃に上がる。
1サイクルに要する時間:3時間以上、4時間以内とする。
これを316サイクル繰り返しました。
結果は以下の通りです。
試験の結果「コンクリート補強繊維バルチップMK」を添加したコンクリートは、無添加のコンクリートと同等の凍結融解抵抗性を有しています。
この試験では、コンクリート標準示方書(設計編)に示されている最も厳しい条件で設定されている、相対動弾性係数85%を上回りました。
室外に比べて、室内では凍結融解作用が頻繁には加わらないですが、低温つながりで一つ実績を紹介。
近年では既存倉庫を冷凍冷蔵倉庫に改修するケースが増えています。
倉庫内の室温が-25℃以下で管理されているような厳しい条件下においても、
断熱材の上の保護コンクリートでバルチップが採用されています。
通常保護コンクリートにはワイヤーメッシュがひび割れ抑制として使用されていますが、
バルチップに代替することで、「工期短縮」や「コストダウン」になっています。
また、ワイヤーメッシュが断熱材自体を傷つける可能性もありますが、バルチップの場合そのリスクもありません。
上記のような理由からバルチップの採用が増えています。
土間コン以外でも、バルチップで「工期短縮」「コストダウン」「品質向上」目指しませんか?